煩悩と惰性。

適当に日々思ったこと綴るところです。

月に寄りそう乙女の作法 感想&批評。

公式HP。
http://www.project-navel.com/tsukiniyorisou/

月に寄りそう乙女の作法の攻略を終えましたので感想でも。
Basilの「それは舞い散る桜のように」はプレイしてますが、Navelの作品は初プレイとなります。


※以下、多少のネタバレを含みます。


・音楽。9点。
BGMが30曲、Vocal曲が3曲。
全体的に癖の強い楽曲が多く、他作品と比べるとBGMは主張強めかな。しかし場の雰囲気を壊すことは一切なく、この作品を影ながら支えていた印象。Vocal曲も良い出来で、文句をつける部分はありません。総じて、最近の作品の中ではかなり優秀なのではないでしょうか。


・絵。8点。
CGは101枚(ルナ24枚、湊22枚、ユルシュール22枚、瑞穂21枚、その他12枚) 三桁ということで、不足なしの分量。絵師は西又葵氏と鈴平ひろ氏と鉄板のお二人で、各々の個性を十分に発揮しています。もちろん、その個性がぶつかり合っている様に見えるところもあるにはありますが、個人的には許容範囲ですかね。一部、他の絵師さんが描いているキャラクターもおりますが大勢に影響はありません。
キャラクターの設定にも因るところがあるので一概には言えませんが、ヒロインが着飾ったときの「華やかさ」という点では鈴平氏のほうが一枚上手なのかなぁと思ったり思わなかったり。


・システム。6点。
config等の足回りは総じて優秀。シーンスキップはとても便利で、後から見返すのに重宝しております。
対して演出面はあまり力を入れていない様子。もうちょっと立ち絵が動いてもいいではないかなと思ったりします。

修正パッチを当てずにプレイしたので評価基準からは外しますが、画面左下のキャラクターの絵がずれていたり(朝日のウィッグが外れていたり)誤字がいくつもあったりとデバック体制にはちと疑問を感じますね。
誤字脱字やシステムの不備は日常茶飯事のエロゲ業界ではありますが、Navelはブランドを立ち上げて早10年、これは立派な業績なのだから、それに見合った完成度を期待したいところです。


・声優。9点。
全体を通じて問題なし、というか上手いです。文句無いですの。
最近のゲームの声優さんは総じて質が高いですね。


・共通シナリオ。9点。
本作はどこからどう見ても「女装主人公系のゲーム」ではありますが、その道の先達である作品とは一味も二味も違う展開を見せてくれるため飽きることはありません。定型化された展開に頼るシナリオが多い中、「新しい」モノを描いてくれる時点で個人的にはこの上なく高評価です。「女装モノ」「百合モノ」「主従モノ」といった様々な分類が氾濫し、それぞれに期待されている(強制されているといっても過言ではない)展開を描写しただけで終わってしまう作品群とは一線を隔てます。
加えて一点、強烈な、という接頭語をつけても良いほどに素晴らしいテンポのよさも賞賛するべき点でしょう。話が日単位ではなく月単位で進んでいくにも拘らず、ゲームを終了するべきタイミングを挟めないのは見事というほか無いです。
とまあここまではベタ褒めですが、一点気になったところも。瑞穂と湊の二人についてはややキャラクターが弱いんですよね。朝日への好感度が最初からMAX+流鏑馬などの特技を持つ瑞穂については、その特技を活かす場面を作るのは難しいところがあるでしょうし共通ルートの責任とはいいにくいのですが、湊については朝日の正体バレの後、妙に存在感が薄くなってしまったのは惜しいところ。服飾の比重が大きくなると彼女の存在意義が弱くなるのは致し方ないところではあるのですが、しかし一工夫が欲しかったところではありますね。あと、りそなはもう少しで出番があってもよいと思うんだ・・・。


ルナルート。9点。
まごうことなき真ルート。百合から服飾まで総てに力が込められた力作ですね。ルナの過去、服飾に対する熱意、主従の強い信頼、そして愛情、あらゆる面にて描ききってます。特に、朝日の性別が判明したときでも「それがどうした?」と言い切ってしまうルナ様との信頼関係が熱くて美しいです。
しかし、逆に力みすぎてしまったように感じられる部分もちらほらと。能力主義の衣遠の盗作しだしたり(彼は遊星に対する異常な執着が見て取れるため、理由の無い行動だとは言いませんが・・・やっちゃいけない一線を越えているような気が)、朝日がいくらなんでも優秀すぎたり女すぎたりと、喉に小骨が刺さっているような違和感が拭えないところも。女装しないと勃起できないとか病院行けよ!と叫びたくなったのは秘密。
しかし、欠点に目を瞑れるほどに美しく魅了させてくれるシナリオでした。


・ユルシュールルート。10点。
二人の秀才が力を合わせれば天才にだって勝てる!というお話。
話のスケールはルナルートの縮小版ですが、縮小版であるが故にキャラクターが活き活きとしていたのだと思います。三度の挫折を味わい心折れそうになりながらも立ち向かうユルシュールや、ここ一番で勝つためのプランを編み出す遊星、そして苦難を乗り越えて深まる二人の関係など、人ひとりの等身大の物語で綺麗に描ききってます。ルナルートで感じた「力みすぎ」といった様子も一切感じさせず、緩急つけながら最後まで描いたのは賞賛したい。流石の三菱系列


・湊ルート。4点。
「好きな人が出来たから、服飾諦めていいよね♪」
という恐ろしい境地に達した遊星さんのシナリオ。ええんか。それでええんか。お前それで本当にええんか。マジで「メンゴメンゴ」では済まさんぞゴルァ! ・・・とまあ、そんな感じのアナザーシナリオです。JPスタンレーの言葉で遊星は生き返ったはずなのに、とか言ってはいけない。恋とは、愛とは、偉大なのだ。
湊が可愛かったから相応の評価はしますが、話のプロットは大変グダグダです。親の会社が倒産するだとか、学生の立場で介入できない問題で場をかき乱し、滋賀の片田舎で恋人二人で適当に生活していたらなんか上手くいきました・・・というのはどう評価したらいいのかわからない。メイド喫茶のくだりなんかは無理がありすぎると思うのですが。
そういえば、湊がルナのメイドになるところを見て、さくら銀行によるTOBを思い出して笑ったのは私だけでいい。


・瑞穂ルート。3点。
共通ルートの逆で、いわゆる女装モノのテンプレートそのままのシナリオでした。そういったテンプレが悪いとは言いませんが、その土俵で戦う場合「シナリオの魅力=キャラクターの魅力」になるんですよね。では瑞穂はそれほどまでに魅力的に描かれていたかというと、残念ながらそうではないのかな、と。キャラクターの設定的に茶道なり華道なりでおしとやかさをアピールするだとか、朝日は大好きでも中身は男だからって流れで所謂ツンデレだのヤンデレだのの属性を身につけるだとか、何かしら手を打つべきではなかったかと思います。
また、キャラクターの口調が他のルートと全然違うなど、整合性という点でもお粗末。また障害ですね青メガ・・・。


・総評。

傑作。ルナ、ユルシュールのシナリオで見れば名作クラスの出来。

癖のある作品なのは確かですが、それでも多くの人にお薦めできる作品かと思います。
りそなに公的資金を注入するファンディスクを早く作成するんだ!
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