煩悩と惰性。

適当に日々思ったこと綴るところです。

Clover Day's 感想&批評。

公式サイト。
http://www.alcot.biz/product/cld/index.html


ALcotの新作、「Clover Day's」をプレイしましたので感想でも。

ALcotさんの作品は殆どをプレイ済みです。処女作「Clover Heart’s」を意識した10周年記念作品ということで、Clover Heart’s(以下、クロハ)との比較要素が所々に含まれますので、ご留意ください。
公式には「Clover Heart’sをプレイしていなくても楽しめます」とのアナウンスがあります。しかし、シナリオ構成や演出、雰囲気などは色濃く引継いでいるため、個人的には是非ともクロハも併せてプレイすることを推奨します。

推奨攻略順としては、つばめと泉は連続で攻略すること、杏鈴は最後にとっておくことくらいです。推奨といっても相互にネタバレ要素はありませんので、好きなルートから攻略しても問題ありません。


※以下、ネタバレを含みます。


・音楽。10点。

BGM35曲、Vocal曲は3曲。曲数は標準以上で問題ないでしょう。

Vocal曲についてはOPである「Clover Day's」EDの「しあわせがたり」も良い曲ですが、どうしても2ndOPである新版Clover Heart’sの破壊力の前には霞んでしまいますね。オマージュでもなんでもなく、これそのものを持ってくるのは卑怯というか何と言いましょうか…感無量でした。もちろん、曲の中に台詞を入れてくる技法も踏襲し、OPだけで高まれる仕様になっております。

BGMについても至宝の出来。ここ数年で最高のものだったと思います。とにかく旋律が美しい。
極論を言うと「a memories for us feat."Day's"」で如何に高まれるか、この一点に特化した作品でしたね。この曲が流れるたびに叫んでいた気がします。


・絵。9点。

CG95枚(パッチで更に+10枚)、SDが40枚。

予約のパッチ込の枚数になりますが、CG枚数は3桁の大台に乗り、更にSD枚数がこれだけあれば文句なしでしょう。立ち絵についても十分以上に量がありました。
ALcotはそれこそ10年前から、パジャマなら髪を下ろすなど立ち絵によって髪型を変えたりしているのに、何で他のメーカーは追従しないんでしょうね。不思議です。
なお、背景や服装には存分にクロハ要素が詰まっているので、わかる人はすごく楽します。

質については若干のばらつきを感じる部分はあるものの、概ね問題なしでしょう。


・システム。8点。

Configシンプルながらも十分に設定項目は揃っています。必要なようなら上部にあるメニューから細かい設定を行うことが出来るため、不満を感じることは無いと思います。
skip速度はウインドウの大きさに依存しますが、おおよそ普通~やや低速といったところでしょうか。
UIについては快適かつ、優秀です。作品のカラーに合わせた色合いは上品で良いですね。

一点、非常に残念なのが泉の音声ボリュームが小さいこと。キャラクター別で調整できるというのは勿論把握していますが、それでもなお取り上げなくてはならないくらいにアンバランスです。どうしてこうなった。


・演出。9点。

スクリプトにより、キャラクターの表情がころころ変わるため見ていて飽きることはありません。台詞用のウインドウが動くのももはやお家芸ですね。賑やかさを感じさせつつ、うっとおしく感じない良いバランスで構成されていると感じました。
BGMの流れるタイミングについても完璧でした。前述の「a memories for us feat."Day's"」がしっかりと活きていたと思います。

あと望むとしたらカットインを入れる・・・とかですかね。現時点で完成されているといっても過言ではないので、このままでも良いのかもしれません。


・声優。10点。

演技については一切の文句なし。
Radio de ALcot!で培われた信頼なのか、難しい役どころを北見六花さん、遠野そよぎさんに任せているのかな、と。遠野さんといえば、ENGAGE LINKSでのヘレンの叫び声があり、そのあたりの経験がキャスト配置に活きている印象ですね。
個人的には杏鈴役の桐谷華さんの声で脳が溶けました。桐谷さんの声を聞く機会は結構あるのですが、段々演技の幅が広くなっていっているような。


・共通ルート。6点。

ノリのよさは相変わらず、読みやすいテキストに仕上がっております。パロネタは控えめですが下ネタの比重は相変わらずです。今思い返すと、話題の引き出しが他にも欲しかったところでしょうか。まあ、恥ずかしがるヒロインがいてこそというのもありますけどね。
その他は体験版の感想とほぼ同一となりますので省略します。

共通ルートの感想というより構成の話になるのですが、最初から全員好感度MAXであとは主人公が一人を選択するだけというのはやはり魅力を殺いでしまう要因になってしまっている印象を受けました。個別ルートにて三角関係を描くための下地であるのは間違いないのですが、やはりもう一歩、主人公への好意を隠した状態からスタートしてもらいたいなぁと。その分、この作品ではヒカルさんが個別で輝くんですけどね。


・杏鈴ルート。8点。

前半は杏璃が恋心を暴走させて三角関係へ、後半は紫苑と義臣の結婚が中心になります。

杏璃との和解のシーンは残酷さを内包しながらも、己の願いを貫く杏鈴の姿勢、傷を負いながらもそれを受け入れる杏璃の愛を感じて大変に良かったです。これだよ、この美醜混じり合った感情の高まりを私はALcotに求めていたんだよ!

後半の紫苑さん関連については、感動一直線でした。繊細さよりも力で押していく感じ、とでも言えばいいのでしょうかね。グランドルートと称するに相応しい展開だったと思います。久遠さんは鋼の精神の持ち主だったのに、姉さんはメンタル弱すぎで可愛い。

ただ、杏鈴本人の心理描写はかなり不足している印象を受けました。特に気になってしまったのは、主人公への恋心の自覚と母親の死に関するトラウマあたりですね。特にトラウマについては主人公から「お母さんは娘を許さないと思うか?」というその問いだけで乗り越えてしまうのは…いやいや10年思い悩んでいたのは何だったのかと。


・杏璃ルート。5点。

前半の恋心と家族関係の維持の間で葛藤する杏璃は切なさを感じさせてくれて、納得の出来。兄が離れていってしまうのではないか――という怖れを抱いて、必死に大人になろうとしていた杏璃の可愛らしさは至高でした。一方で、杏璃さんは駄妹すぎて面倒だと感じる部分が多々あるキャラクターである故、ユーザー側の懐の深さが求められますけどね。

対して後半は首を傾げざるを得ない展開でした。恋人関係になった二人はひたすらベタベタと場所を選ばず愛し合って、それが学園で騒ぎになって謹慎になって、親に責められた結果が「勘当されても構わない」「許しを請いたい」というのは幾らなんでも子供の理論すぎるような。

「物分りがいい振りをして、気持ちを押し込めて生きるのが大人なら、私はそんな大人になりたくない」

言葉は美しいのですけどね。しかし、やはり親の庇護下にある学生の立場では無鉄砲すぎましたし、行動が伴ってないとキツイです。これが例えば「虎吉が危ない。昔居場所を与えてくれた彼に恩返しをするんだ」的な話ならともかく、ところ構わず発情した結果でこれはちょっとマテやといわざるを得ないです。これを許して肯定してしまう父親たる義臣の懐が深すぎそして格好よすぎますわ。このルートに限らず、この父親がいたからこそバランスを保てている部分が多分にありますね。
選挙演説に対する主人公の奥の手もただの力技のクーデターですし、杏璃たちに対する悪意も幼稚すぎましたし、なんだかなぁ・・・いっそのこと、ロシアマフィアが攻め込んできたほうが面白(ry


・ヒカル&ヘキルルート。10点。

まずは最初からフルスロットルだったヘキルから。
幼い感情を相手に叩きつけるだけだったヘキルが、感情とは双方向に伝え合って初めて意味を成すものであることを知っていく過程は感動的というわけではないのですが、ほっこりする良いお話でした。既に好感度MAXで余地が無いと思っていたところを、ヘキルの成長という形でしっかり描いたのは高く評価したい。
しかしまあ、身体は大人なのに頭が子供とかイイですね。実にイイですね!

後半はヒカルの攻略。彼女は絵の才能の無さから、ヘキルに対する劣等感そのものといっても良い存在でした。ヒカルはヒロインの中では唯一わかりやすくはデレていませんでしたし、そんな彼女が自分の想いを発する場面は正直震えました。
二人の入れ替わりは中の人のこともあって想定済みでしたが、それが暴露されるのもその後の告白に繋がるのも非常にスピーディで、不意打ちになったのが大きかったのかもしれません。

鏡合せな二人、彼女たちの間に生まれた感情は決して良いものだけではなかったはずですが、それでも自分の望むものを投げ打ってでも相手の幸せを望む姉妹愛が非常に美しく、満足のいくシナリオでした。


・つばめルート。9点。

演劇を中心に、関係の変化への戸惑いと渇望を示したシナリオでした。

主人公の相手となる姫役をヒカルと争うも、実力を出し切れず敗北、一度は諦めるものの再オーディションを懇願し、それでも自分の演技を出来ずに敗北、長年の夢を諦めざるを得ない状況に追い込まれて号泣。
この追い込まれていくような息苦しさ、そして感情の爆発、これぞクロハの後継たるシナリオですね。基本は10年前の焼き直しではありますが、つばめ本人に心理を語らせるのを減らして表情などで演出し文章量の上ではやや軽く、しかし胸にくる重さは変わらぬものであるなど、より現代向けにブラッシュアップしてきた印象です。これが今のALcotの実力なのか・・・!
二人が付き合うまでの重い過程を抜けて、ひたすら二人で甘い生活を過ごして、最後に山場を持ってくるという、完全に役割を分離したこの構成もクロハのCHAPTER形式を思い出しますね。

惜しむらくは終盤の盛り上がりがやや足らなかったことですかね。正直、今更三角関係かよというのと、演劇であるという設定上、どうしてもキーワードからつばめらしさを感じられることが出来なかったのが大きかったです。そこは仕方がないのかなぁ。


・泉ルート。4点。

告白に至る過程は全ヒロインの中でいちばんあっさり風味でした。オナディーであるあたりが笑わせてもらったくらいでしょうか。10年間想い続けてきたというあたりは最高に可愛くなれる要素のはずなのですが、これで好意を隠せてると思うほうがおかしいレベルの暴露属性であったのがヒカルとの差異になってしまったのかなと思いました。

後半は泉の家族の話。
泉と瑞穂は生き別れた双子だった、顔を見たこともない父親との距離、西園寺家の内紛など、読み応えがあるネタは揃っていたと思うのですが、キャラクターの行動特性に無理がありすぎて楽しめませんでした。街中で極秘情報を平気で語っていた西園寺先生とか、ずっと離れていたはずなのにすぐ仲良くなれる瑞穂と泉の母とか。突然殴り合いを始めた主人公と虎吉とかはどうしたんだお前らと思わず叫びたくなりましたね。シナリオの展開という都合もありましょうが、もうちょっと自然にキャラクターを動かしてもらいたかったところです。
泉の父親に対する葛藤はよく描けていたので、なおのこと残念。


・総評。

傑作。

ALcotの10年記念に相応しい高品質な作品でした。
隙が少ないという点では万人にお薦めできますし、特に感動できる作品をお探しの人には是非とも薦めたいですね。



極めて個人的にな意見を書かせていただくと、ALcotというメーカーには本当に10年間、こういう作品をまた作ってくれることを願っていた身ですので評価以上に嬉しかったりしています。Clover Heart’sで感じたその感動は10年経った今でもなお、私を感動させてくれるというその事実が何より嬉しい。ありがとうございました。
別窓 | ゲーム感想。 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨
<<ALIA's CARNIVAL! 感想&批評。 | 煩悩と惰性。 | 恋がさくころ桜どき 体験版感想。>>

この記事のコメント

∧top | under∨

コメントの投稿

 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック

∧top | under∨
| 煩悩と惰性。 |