煩悩と惰性。

適当に日々思ったこと綴るところです。

Golden Marriage 感想&批評。

公式サイト。
http://www.ensemble-game.com/08.goldenmarriage/index.html


ensembleの新作、「Golden Marriage」をプレイしましたので感想でも。

ensembleの過去作品は「花と乙女に祝福を」、「お嬢様はご機嫌ナナメ」をプレイ済みです。以下の感想には後者との比較が含まれますのでご注意ください。

推奨攻略順は特にありません。どのルートも似たり寄ったりですので、好きなキャラクターから攻略していけばストレスは少ないでしょう。


※以下、ネタバレを含みます。


・音楽。7点。

BGMは20曲、Vocal曲は3曲。
Vocal曲はDucaさんの歌う「marry me?」の存在感がありすぎて他が霞みます。1stOPの「Jewel Love」とは何だったのか。いや、決して悪い曲というわけではないのですが、どうにも作品にあっていないような。

BGMはかなり大人しめなラインナップであまり記憶に残らず。あえて耳に残ったもの挙げると「Samurai Road」ですかねぇ。極道っぽさが出てる気がします。


・絵。7点。

本編でCG78枚、エピソード0で2枚、マリーカパッチで4枚、計84枚。

フルプライスを超えるお値段ということも考慮すれば、やや物足らない印象を受けます。シナリオが対して長くないので、プレイ中に不足を感じることはあまりないですが、もうちょっとエロCGを増やしても良かったのではと思うところ。
立ち絵についても服装が3種類なのはギリギリかなぁと思うところ。制服・私服・寝巻きorバイト制服ですからね。あと1種類あれば相当違ってきたと思うのですが・・・コスト的に難しいのでしょうか。

キャラクターデザインについては可愛らしく、ensembleならではの柔らかい塗りも相俟って質は高めと言ってよいかと思います。些細なことですが、玲だけ寝るときだろうがお風呂だろうが髪飾りを一切外さなかったのは何ででしょうね・・・?


・システム。6点。

Config設定項目は十分。ウインドウサイズは変更可能ですしね。ただ、WillPlus系列のシステムは全体的に動作が重く、skip速度はそこそこ。
UIはかなり野暮な印象を受けました。PULLTOPの「ココロ@ファンクション!」などといった業界最上位レベルに引き上げろとまでは言いませんが、色使いだけでなく作風にあわせた豪華な雰囲気が欲しいところ。


・演出。4点。

スクリプトはほぼ組まれておらず。地震の時に画面が揺れる、踊っているときに立ち絵が左右に動く、くらいでしょうか。お嬢ナナのアイドルルートでは頑張って動かしていた記憶があるのですが、どうやら諦めてしまった様子。


・声。8点。

絵と並んで、この作品の主要な要素です。
夏野こおりさんはかなりのベテランであるという認識ですが、なかなか見ないキャラクターを演じており、コレだけでも私は大変に満足です。玲さんは結構な頻度で叫んでいたのもGJでした。
桐谷華さんは未だ徐々に演技の幅を広げている様子が見受けられました。今回は妹のほうが、杏鈴と真咲を合わせてアレンジを加えた感じ、弟は今までに聞いたことのない声でした。どこまでいくんだろうこの方は。
今回初めて声を聞いた香山いちごさんのマリーカは、棒っぽさと可愛らしさが同居しており、個人的に好みの声でした。

ただまあ、モブキャラの大半には声がついておらず、2014年の作品としてはパートボイスはかなり残念ですね。


・シナリオ。3点。

章仕立ての構成になっており、5章までが共通、個別が2章、計7章構成となっております。共通ルート最後のダンスで主人公は婚約者となる女性にプロポーズし、そのままその相手と個別へという流れです。

主人公もヒロインたちも各々の人格をしっかり形成しており、萌え系エロゲでよく見かけるような極端な依存などの関係はほぼ見受けられません。勿論、そういう萌えゲーが良いという方も多くいましょうが、適度な距離感を保ちながらの人間関係は心地よいものを感じますし、他の作品との差別化という点でも十分な役割を果たしています。「お金」という非常にリアルな要素を前面に押し出した成果なんでしょうかね、これは。

・・・と、ミクロ単位では悪くないものの、全体を見渡すと総崩れを起こしています。

まず、活かされていない、存在意義が不明な設定が多すぎます。主人公は過去に金持ちであることを利用して女漁りをしていたとか、主人公両親の死についての陰謀とか、謎外国人とか。透子のおもらし属性のような、見ていて微笑ましくなるようなものならともかく、徒に不快感だけを与えるだけの無駄設定は何とかしてもらいたいところ。各ルートがしっかり実装されておりEDまでしっかり描かれている以上、あまり言いたくはないですが、未完成ではないかと疑いたくなるところです。

ヒロインの性格にも疑問がつきます。人の金を代理で投資しているだけで投資家面しちゃう透子さん、ヴィンテージヴィオラが手に入ったら突然自分の演奏スタイルを変えてしまう玲さんあたりは強い違和感を感じました。伏線でもなんでもなく、シナリオの都合に合わせて登場人物が歪められるのは物語として破綻しているような・・・。

そして最大の難物、主人公。お金持ちで羽振りがよく、強く主張せず、包容力がある。そこまでなら全然王子様として通用するキャラクターだと思うのですが、3章にあった「花純を助けるために暴力団の闇金業者に5000万円を支払う」というエピソードがキ○ガイすぎて笑えない。両親が健在の頃は3LDKに住んでいたとのことですが、5000万もの金をあっさり払ってしまうのはやはり通常の金銭感覚ではないわけで。しかも相手は暴力団、本来の資金源たる叔父にも迷惑がかかりうる相手に対してこの独断専行は擁護のしようが無いです。透子にも9桁に上る資金を預けており、それを高リスク運用させていたあたりも大変歪ですし、気味の悪さしか感じませんでした。
共通ルート最後の、叔父から「跡継ぎになりたいなら早く婚約者を決めろ」と言われての告白も恋愛感情を感じさせず、不気味さを増幅させるだけでした。いや、恋愛感情よりも自分の中にある勘定を優先させる姿勢が駄目とかそういうつもりは無いんですけどね。しかしその勘定は叔父の発言によるものであり、久美が「まだ今この家にいる人間のほうがマシ」という言葉におされての思考であり、その主体性の無さはまるで人形のようだな、と。

一応、各ルートの感想を簡単・適当に。


・透子ルート。

ensemble名物、経済戦争ネタのルートです。お嬢ナナと比較して経済を語る比率が大幅に減少していますが、それでも頭を抱えたくなるような部分はありまして。

ツッコミを入れる前にプロットについて意見を述べておきます。
経済戦争というのは第一ステップとして、どれだけの資金を投入するか、投入する覚悟があるかが争点となります。端的には資金量の大きいほうが勝ちますが、手札以上のものを賭けて相手にプレッシャーを与えて下ろさせるなど、そこに駆け引きがあり、ドラマがあるわけです。
第二に人脈ですね。敵対的買収の話になると、これは資金提供者を集めるという意味で上記に帰属しますが、新規事業案件の許可などの話になると、政治家との関係が強いところが当然大きな権益を譲り受けることが多いです。
第三の戦場は司法でしょうか。まあ、そこまでもつれ込むと泥沼ですが。

んで、そんな泥臭い、人脈と金がモノをいう世界を学園モノの枠内で描けるかというと、あまり考えなくともわかると思いますが・・・かなり難しいわけですね。学生では諸々制限がかかりすぎて争いに向かないのは勿論のこと、萌えゲーに泥臭い争い雰囲気は合わないわけですし。
お嬢ナナの主人公たる元は学園生活を送りながらでも暗躍するだけの気概がありましたが、こちらの主人公はそんな闘争心も無いわけで、尚更上記のような争いには向くはずも無く、いい加減にそのあたりを理解して骨子を組み立てないとライターの経済知識量以前のところで作品は躓くわけです。経済ネタを使って味付けするという挑戦については応援したいところですが、基礎をもっと練ってからにするべきでは?と思わずにはいられません。
この作品では一学生であった主人公が財閥跡取りに抜擢されるという、全くの素人が修羅として覚醒するまでの無理のない筋道が立てられていたわけですから、跡取りとして求められる姿勢と優しく主体性のない元々の自分の間で葛藤するという流れにすればかなり面白くなったと思うのですけどね。
守らなければならない相手として認識していたヒロインが苦悩する主人公を助けて、主人公は自分らしさを保ちつつ跡継ぎとして覚醒していく――これで「お金か、愛か、いや両方でしょ!」というこの作品に合う(?)流れになったんじゃないかと。

以下はツッコミです。
まず、「安定した下落傾向にあった一条寺グループの株価はV字反転した。これは不自然だ」と語りだす透子さんとエルヴィラ母さんですが、安定した下落傾向だったのならば空売りしていた連中が買い戻すとか、逆にHFが売ってる投資家に仕掛けてきたとか、そういう発想にならない貴女方が不思議です。・・・ensembleの中の人ってHFは経営権狙いの買収しかしないと考えているんじゃなかろうかと邪推してしまいますね。
「ネット上の投資家コミュニティとかを見たけど、一条寺株を買おうなんていう機運は無かった」とは透子さんの弁ですが、一番大きく金を動かす機関投資家がネットのオープンスペースで投資計画を練っているはず無いじゃないですか、企業秘密ですよよよと。

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(クリックで画像は拡大します)

5%ルールの報告書って金融商品取引法の第27条の2に定められている公開買い付けの条件のことだと思われるのですが、

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リッチさん、法律ガン無視で1/3の株を買い付けていてクッソワロタwww
恩返しとかそういう問題じゃねぇよ、それ犯罪だから!

あと、ここで「透子さんは素晴らしい投資家」との評をいただくのですが、人様の金を自分は無リスクで投資していて素晴らしいも何もあったものではないのではと思う。自分で稼いだ資金を投資してこそ、ですよ?

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黒幕の言葉がとても身に染みますね・・・。
不可解なのですが、5%ルールという言葉が出てくる時点で公開買い付けが必要となる基準までシナリオライターは知っていたはずにも拘らず、何故こんな破天荒なことをやってしまったのか。

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いえ、適当でいい加減なのは株式ではなく、世界のほうです。本当にありがとうございました。


・玲ルート。

「人生ヴィオラに捧げてますからー!」というのは嘘ではなかった。個別ルートの中身が殆どヴィオラで笑いました。
スポ根ものとしては悪くないと思うのですが、終盤に玲のキャラクターがかなりぶれてしまったのが残念。
ヴィンテージヴィオラを手に入れたからといって今までの演奏スタイルを捨ててしまうのも、憧れの人に弟子入りする理由に名声とか突っ張っちゃうのも、彼女らしくないと思うんですけどね・・・。
まあ、もう夏野こおりさんの声が堪能できただけでこれ以上は望みません。ハイ。


・花純ルート。

二人は婚約者となりパーティなどに参加し社交界デビューを果たしつつあった最中、花純さんのお菓子屋さんやりたいという希望により、財閥跡取りの道を諦めるルート。
一応、愛と金のどちらをとりますか?という二者択一を求めてくるルートではあるのですが、主人公は一切の迷い無く愛を取ってしまう上、それによる制裁などが一切無かったため、何を描きたかったのかまるで理解できないシナリオになってます。財閥跡取りとして親族以外にも紹介されつつあったにも関わらず放棄するとか迷惑すぎるにも程があると思うのですが、そこに対する謝罪の必要性を意識すらしてないのはどうなのかね?と。

エロゲの登場人物は18歳以上云々というのは置いておくとして、小学生の子供二人、学生の娘の3人を放置して逃げた花純の両親が「実はいい人だったんです!」と描写してしまうあたり、なんかもう色々とヤバイですこのルート。あんたの娘、お前らの借金で泡風呂に沈められそうになったんだぜ。これでまだ親への愛情が残ってるという花純さんは将来大変なことになりそう。・・・そう考えると財閥を潰しかねない女性を止めることができたハッピーストーリー?いやいや。
露見しなければ犯罪じゃない――そんな言葉がぬるく感じられるほどに腹黒い無責任な物語でした。世の中、善人ほど痛い目を見るという残念な真理を見せつけられました。こういうのを胸糞と表現すればいいのでしょうかね。


・紫子ルート。

主人公覚醒、誰だお前はと叫びたくなるくらい暑苦しい男になります。別人というより真逆の性格に反転していて、ライター間の意思疎通が取れていなかっただけとも思えないので、意図的にやったんですかねぇ?これは。このくらい人間味があってもいいじゃないと思う反面、やはり作品としての整合性という観点では難ありで判断に困るところです。

内容としては春の人と称されるだけあって、流石のエロスですね!というくらいしかありません。ある意味、CGを堪能しましょうという姿勢が垣間見れて、潔いシナリオになっております。
ただ、詩綾お嬢様の変態さ加減を思い出すと、物足らないなぁと思ってしまうのもまた事実。


・瑠璃ルート。

瑠璃さん決して可愛くないわけではないのに、極道の親父のツンデレっぷりしか思い出せないシナリオです。なんだこれ。殴り込みのところは結構ワクワクしたのですが、こちらも黒幕・ライナーさんが途中退場してしまったため尻すぼみに。どのルートでも着地点が「主人公とヒロインが結婚する」以外の要素が非常に弱いあたり、やはりプロットに問題があるのではと思ってしまうところ。
極道の娘との恋愛、財閥跡取り、十二分に二者択一の「愛か、金か」を描ける余地はあったはずなのに。どうしてこうなった。

・・・徐々に感想の文章が短くなってきているのは、本当に書くことが無いからです。お察しください。


・マリーカルート。

30分で終わります。せっかくのシーンは夢オチ、マリーカの姫設定はほぼ活かされず、正直何のためにいたんだこの娘?てか入国時にパスポートはどうした?と思ってしまうあたりが切ない。
「マリーカ攻略パッチがつきます!」と強く広報していたのだから、もっと質にせよ量にせよ充実してもらいたいところ。


・総評。

凡作。

最低限、画集としての役割はありますし、声優さんのチョイスはなかなか面白いと感じられたのですが、いかんせん肝心のシナリオが全く良くないです。設定のぶん投げやキャラクターの性格矛盾など、極めて浅いところで躓いていますし、「良い作品を、消費者に喜んでもらえるような作品を作る気ありましたか?」と問いかけたいレベルです。

もうちょっと頑張って欲しい。
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